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思いを巡らせるだけで行動は変わる──依存症と小さな気づきの力

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✅ 要点3行まとめ

• 人は合理的ではなく、衝動に従って動いてしまうことがある
• でも「思いを巡らせる」だけで行動が変わるという研究がある
• SNSの投稿や共感が“自分との約束”を思い出すきっかけになる


reflection

人は、いつも合理的に行動できるわけじゃない。
特に依存症になると、「やめたい」と何度思っても、気づけば手が勝手に動いている。まるで誰かに操られているように。

でも、最近の行動経済学の研究は、そんな私たちに希望をくれる。
ほんの少し思いを巡らせるだけで、行動が変わる──そんな実験結果がある。


十戒の実験:「思いを巡らせるだけ」で行動が変わった

行動経済学者ダン・アリエリーが行った有名な実験がある。
大学生に自己申告制のテストを受けさせると、不正をする学生が一定数現れる。

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ところが、テストの直前に「十戒を思い出してください」と指示すると、ほとんどの学生が不正をしなくなった。

興味深いのは、十戒の内容を覚えていない学生にも効果があったこと。

つまり、「誠実さ」について少しでも考えるだけで、人の行動は変わる。
この結果は、記憶を呼び戻すというよりも、“そのテーマについて思いを巡らせた”という行為そのものが、行動に影響することを示している。


依存症にも応用できる考え方

依存症と向き合う中で、強い意志に頼ろうとしてうまくいかないことは多い。
でも、毎日少しだけ「自分はなぜやめたいと思ったのか」を思い出せる時間があるだけで、その日の行動は少し変わるかもしれない。

思いを巡らせることは、感情に流される前の“余白”をつくる行為とも言える。

たとえばこんな場面──

  • 他人の投稿に共感し、「そうだった、自分もやめたかったんだ」とふと思い出す
  • 過去の自分の言葉を読み返し、衝動が落ち着く

それだけでも、その瞬間の選択が変わることがある。


QuitMateという場の意味

QuitMateのような依存症支援SNSでは、1日1回投稿したり、誰かの投稿にリアクションしたりといった日常的な行動が自然に起こる。

これらはすべて、自分の状態に思いを巡らせる時間になっている。

真剣に長文を書かなくてもいい。気持ちをうまく言葉にできなくてもいい。
ほんの少し「やめたい」という気持ちに触れる時間があるだけで、回復のプロセスは少しずつ進んでいく。


自分を変えるのは、「完璧な決意」じゃない

多くの人が、変わるためには“強い意志”が必要だと思いがちだ。
でも、実際には小さな気づきや、思いを巡らせる習慣のほうがずっと現実的で、持続しやすい。

「やめたいと思った理由に、少し触れる」
「過去の自分の言葉に共感する」

たったそれだけで、その日の選択が変わることがある。

依存症と向き合う日々は、山あり谷あり。
でも、立ち止まって考える時間が1日1回でもあるなら、それは確かな前進になる。


おわりに

思いを巡らせるだけで、行動は変わる。

決意ではなく、“気づき”から始まる回復があってもいい。
そのための場を、QuitMateはこれからも届けていきたい。